被扶養者を増減するとき

健康保険の被扶養者

 

健康保険では、家族が「被扶養者」として健保組合に認定されることにより、被保険者本人(従業員)と同様に病気やケガの治療などの保険給付を受けることができます。

被扶養者とは

 

主として被保険者(従業員)の収入により生計を維持されている家族のことを、被扶養者といいます。「主として被保険者の収入により生計を維持されている」とは、被扶養者の生活費の大半を被保険者が負担していることを意味します。同じ家に住んでいるから、親子だからという理由で、家族なら誰でも被扶養者になれるものではありません。被扶養者には、法令等の基準があり、健康保険組合が認めた方のみが、被扶養者となります。

被扶養者の範囲

 

健康保険の被扶養者になれる人は、健康保険法第3条第7項に明記されています。

一定の親族関係

 

被保険者と同居(※同一世帯)でも別居でもよい人と被保険者と同居が条件の人とがいます。

  • 同一世帯とは、「家計」および「住居」を共にしている状態をいいます。同じ住所に住んでいても、住民票が別々の場合は、「生計」を共にしていないため、同一世帯とはいえません。

収入基準額

 

被扶養者となる人の年間収入(※)が60歳未満の場合は130万円未満、60歳以上または障害年金受給要件に該当する程度の障害者の場合は180万円未満で、

  1. a.
    同一世帯の場合は、被保険者の年間収入の1/2未満であること
  2. b.
    別世帯の場合は、被保険者からの仕送り額より少ないこと

とされています。ただし、実態にあわない場合は健保組合で調整してもよいとされており、各健保組合ごとに被扶養者の認定基準が設けられています。
令和5年10月より新たに厚生労働省から「年収の壁・支援パッケージ」が発表されました。「年収の壁・支援パッケージ」に対応した扶養認定ついてはこちらをご覧ください。

  1. (1)

     

    年齢区分による基準

     

    被扶養者の年齢 収入基準額
    60歳未満 年間収入130万円未満かつ月額108,334円未満
    60歳以上また障害者(※) 年間収入180万円未満かつ月額150,000円未満

     

    • 障害年金受給要件に該当する程度の障害を持つ方を言います。
  2. (2)

    世帯区分により基準

     

    区分 基準額
    同一世帯 収入が被保険者の収入の半分未満
    別世帯 収入が被保険者からの仕送り額未満

     

    • 別世帯の場合は、被保険者から被扶養者となる人へ一定額以上の仕送りが必要となります。最低基準額については被扶養者認定基準をご確認ください。

収入の範囲

 

  1. (1)
    給与収入(通勤交通費等の非課税収入及び賞与を含む)
  2. (2)
    年金収入(厚生年金・国民年金・共済年金・遺族年金・障害年金・各種恩給・私的年金等)
  3. (3)
    不動産収入(土地・家屋・駐車場等の賃貸収入)
  4. (4)
    投資収入(株式配当金等)
  5. (5)
    事業収入(フリーライター・保険外交員・農業等個人事業に基づく所得。)
  6. (6)
    雇用保険の失業給付・傷病手当
  7. (7)
    健康保険の傷病手当金・出産手当金
  8. (8)
    その他継続性のある収入

年間収入の考え方

 

健康保険での年間収入とは、税法上の考え方とは異なり、現在の収入が将来に向かって継続された場合を考えます。
そのため、どんなに収入があったとしても、退職後に収入がない場合は0円とみなされます。

国内居住要件について

 

健康保険法等の一部が改正され、2020年4月1日より被扶養者の認定要件に「日本国内に住所を有すること(日本に住民票があること)」(以下「国内居住要件」といいます)が追加されました。なお、「日本国内に住所を有すること」は住民基本台帳に住民登録されているかいないかで判断されます。

国内居住要件の例外となる人

例外事由と被扶養者認定時の添付書類
例外事由 添付書類(写し)
①外国において留学をする学生 査証、学生証、在学証明書、入学証明書等
②外国に赴任する加入者に同行する者 査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書
③就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者(観光、保養又はボランティア活動等) 査証、ボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書等
④被保険者の海外赴任中に出産・婚姻等で身分関係が生じた者であって②と同等と認められる者 出生や婚姻等を証明する書類等

注)確認書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に翻訳者の署名がされた日本語の翻訳文を添付してください。

上記以外については全て厚生労働省の確認が必要で原則認められません。

 

国外居住中の人(上記①~④「例外として認められる人」に該当しない人)

被扶養者の要件を満たさないことになりますので、「健康保険被扶養者異動届(非該当)」と保険証を添付して資格喪失手続きをおこなって下さい。

被扶養者認定チャート

 

被扶養者資格があるかどうかチェックしてみましょう!

被扶養者資格点検チャート(pdf版)はこちら

被扶養者資格点検チャート(web版)はこちら

 

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届出手続

 

下記の書類に必要事項を記入のうえ、事業所の担当窓口に提出してください。

 

 

『被扶養者(異動増)届』記入見本

  • 添付書類は対象者・状況などにより異なります。詳しくはこちらの提出書類一覧表をご覧ください。

 

また、雇用保険に関する取り扱いについては、こちら

注意:認定日については、こちらをご覧ください。

 

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よくある質問

 

Q
被扶養者に保険料はかかるの?
A
被扶養者に保険料はかかりません。保険料は被扶養者1人につきいくらというものではなく、被保険者の報酬に応じて決定されます。
Q
被扶養者は年末調整の扶養控除や家族手当と連動するのですか?
A
健康保険の被扶養者は、事実として被保険者が主たる生計維持者であるかどうかを見るものですから、形式的な条件がそろえばいい扶養控除や家族手当とは必ずしも同一とは限りません。
Q
配偶者(夫または妻)も働いている夫婦の間に子供が生まれた場合は、どちらの被扶養者になるのですか?
A
夫婦共働きの場合、原則、前年分の年間収入が多い方の被扶養者となります。また、子供が複数人いる場合、夫婦がそれぞれ扶養することは、できません。

被扶養者になるには

 

被扶養者になるには、健保組合に被扶養者として認定されなければなりません。健保組合が、その人が被扶養者としての条件を備えているかどうかを判断し、主として被保険者が生計を維持していることが確認されれば被扶養者として認定されます。認定されると資格情報のお知らせが交付されます。


※資格情報のお知らせとはご自身の加入情報(保険組合名・記号・番号・資格取得日等)を確認いただくための通知です

なお、被扶養者に異動(増・減)があった場合や職業、収入等に変更があったときは、その都度、会社を経由して必ず健康保険組合に届け出を提出してください。虚偽の申請が判明した時や届け出を怠った場合は、被扶養者資格を遡って取り消しし、当該期間にわたって発生した医療費の全額及びその他給付金を遡って返還していただきます。

 

健康保険法第58条1項

 

偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者(健康保険組合)は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができます。

健康保険法第197条2項

 

保険者(健康保険組合)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提供させることができる。

健康保険法第217条

 

被保険者又は保険給付を受けるべき者が、正当な理由がなくて第197条第2項の規定に違反して、申出をせず、若しくは虚偽の申出をし、届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は文書の提出を怠ったときは、十万円以下の科料に処する。

被扶養者の認定日

 

被扶養者(異動)届を提出しても健康保険組合で被扶養者として認定されるまでは、被扶養者資格がありません。被扶養者として認定されることにより認定日から被保険者本人同様に病気やケガの治療などの保険給付を受けることができるようになります。

被扶養者の認定日は、届出理由が出生の場合であれば対象者の出生日、退職の場合であれば退職日の翌日(喪失日)というように、原則、事由発生日(被保険者に扶養される要因が生じた日)となります。 一方、事由発生日が確定できない場合は健保組合の受付日を認定日といたします。

被扶養者(異動)届は法令により事由発生日から5日以内に届け出ることになっています。しかし運用上、当健保組合は1カ月間の猶予期間を設けております。ただし、やむを得ない事情等により事由発生日から1カ月を経過して届出する場合は、事情や内容を詳細に示した理由書を書面にて申し出て下さい。

被扶養者資格調査(検認)について

 

当健保組合では、健康保険法施行規則第50条及び厚生労働省通達により、すでに認定されている被扶養者の方が、その後も被扶養者の資格を満たしているか確認するために、年に一度被扶養者資格調査(検認)を実施しています。
仕送り証明書、給与明細の写しなど、調査時に提出できるように準備しておいてください。

被扶養者の要件に該当しない方をそのままにしておくと保険給付費や国に納める拠出金等に大きな影響を与え、将来的には保険料の引き上げにつながります。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

被扶養者でなくなるとき

 

被扶養者が被保険者により生計を維持されなくなった場合や、一定の親族関係がなくなった場合は、健康保険の被扶養者資格を喪失することになります。

被扶養者の資格喪失

 

次のような場合は被扶養者資格を喪失することになります。

  1. (1)
    被扶養者が就職などにより他の健康保険に加入したとき
  2. (2)
    被扶養者の収入が基準額を超過するとき
    → 詳しくはこちら
  3. (3)
    被扶養配偶者と離婚したとき
  4. (4)
    被扶養者が結婚したとき
  5. (5)
    被扶養者が別居などで被保険者より主として生計を維持されなくなったとき
    → 詳しくはこちら
  6. (6)
    被扶養者が死亡したとき
  7. (7)
    後期高齢者医療制度の被保険者になったとき(75歳到達、または65歳以上で一定の障害があると認定された方)

届出手続

 

 

下記の書類に必要事項を記入のうえ、事業所の担当窓口に提出してください。

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就職したときは被扶養者でなくなります

 

被扶養者となっている方がご就職やご結婚されたときは被扶養者資格を失います。健保組合に加入している被扶養者の人数は、国に納める“後期高齢者支援金”に大きく影響し、皆さんの保険料に大きく関係します。被扶養者資格がなくなったときは、必ず届け出るようにしましょう。

記号・番号等の確認方法はこちら