保険給付を受ける権利の時効
健康保険制度では行政上の法律関係を長く不確定の状態にしておくことは好ましくないので、民法上の場合と異なり比較的短期間で時効が完成します。
療養の給付である現物給付については、時効の問題は生じませんが、申請による現金給付については時効は2年となっており、起算日から2年を経過した時点で権利が消滅してしまいます。
時効の起算日
給付金の種類 | 時効の起算日 |
---|---|
出産育児一時金 家族出産育児一時金 | 出産した日の翌日 |
出産手当金 | 労務に服さなかった日の翌日(1日ごと) |
傷病手当金 | 労務不能であった日の翌日(1日ごと) |
療養費 第二家族療養費 | 患者が代金を支払った日の翌日 |
埋葬料 家族埋葬料 | 死亡した日の翌日 |
埋葬費 | 埋葬を行った日の翌日 |
移送費 | 移送に要した費用を支払った日の翌日 |
給付を受ける権利の保護
健康保険法により、保険給付を受ける権利保護の方法が法律で保障されています。保険給付に疑問な点がある場合は、まず健保組合に問い合わせてください。
それでもなお給付金の支給決定について疑問がある場合は、通知を受け取った日の翌日から起算して3ヵ月以内に、口頭または文書をもって、全国8カ所の地方厚生局の社会保険課に配置されている社会保険審査官に審査の請求することができます。
また、厚生労働省に設けられている社会保険審査会に再審査の請求をすることができます。
なお、社会保険審査会に再審査請求なく直接裁判所への出訴も可能となっています。
詳しくは コチラ をご覧ください。
給付制限
健康保険制度は偶然に発生した保険事故について、相互にこれを救済しようとするものです。自己の犯罪行為によって事故を起こし、または、故意に事故を起こした場合には、健康保険制度の秩序を乱し適正な運営を阻害するものであることから、保険給付の全部または一部が制限されます。
制限の対象となるもの
- けんか、泥酔、麻薬または著しい不行跡で起こした事故やケガ
- 無謀運転や飲酒運転による事故で起きたケガ
- 正当な理由がなく医師の指示に従わないで、治療を長引かせたり、病気を悪化させたとき
- 詐欺や不正行為で保険診療を受けようとしたり、傷病手当金等を不正に請求または受給したりしたとき
- 犯罪行為で病気やケガをしたとき
- 正当な理由がなく健康保険組合の指示にしたがわないとき
- 給付を制限するか否かは、健保組合がそのときの状況により判断することとされています。詳しくは健保組合までお問い合わせください