保険給付

法定給付と付加給付

 

健康保険法で定められている給付を法定給付といい、各健保組合が規約に独自に定めて、法定給付に上乗せする給付を付加給付といいます。

医療費の負担割合と保険診療(療養の給付・家族療養費)

 

病気やケガをしたときに、健康保険を取り扱っている病院、診療所、歯科医院、調剤薬局など(以下、病院という)の窓口にて健康保険証を提示することにより、下記の窓口負担割合にて医療を受けることができます。

療養費の窓口負担割合

 

年齢区分 窓口負担割合
70歳以上 2割
3割(一定以上所得者)
小学生以上69歳以下 3割
小学校就学前 2割

 

  • 70歳以上とは、70歳の誕生日の翌月(ただし、誕生日が1日の者は誕生月)からとなります。

健康保険が使える範囲

健康保険が使える診療

 

健康保険で認められている診療は次の6つとなっています。

  1. (1)
    診察、検査
    病気やケガをした場合には、いつでも医師の保険診療が受けられ、診察に必要な検査も受けられます。また、必要があれば往診してもらうこともできます。ただし、往診にかかった医師の交通費は実費を被保険者が負担することとなります。
  2. (2)
    治療材料の支給
    直接治療に用いるガーゼ、包帯、眼帯などはすべて支給されます。コルセット、義手、義足は治療上必要であると認められることが条件となります。
  3. (3)
    薬の支給
    治療のために必要な薬(「薬価基準」に記載のあるもの)が支給されます。
  4. (4)
    処置、手術その他の治療
    注射、患部の切開・縫合などの手術、放射線治療や慢性病の療養指導も受けられます。ただし、国で認められていない特殊な治療は、保険診療として受けられません。
  5. (5)
    在宅療養の管理など
    医師が必要と認めれば、在宅自己注射などの指導管理が受けられます。また、看護婦などによる訪問看護も受けられます。
  6. (6)
    入院療養
    医師が必要と認めれば、入院治療と食事、看護が受けられます。

入院中にかかる食事代(入院時食事療養費・家族療養費)

 

入院中にかかる食事代は、本人が定額の標準負担額を病院に支払い、残りは健保組合より入院時食事療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として病院に支払われます。
また、通常のメニュー以外にも特別メニューを注文することもできますが、標準負担額とは別途に特別料金を自己負担することになります。

  • 標準負担額など食事療養に要した自己負担は高額療養や付加給付の計算対象とはなりません。
  • 標準負担額は医療費控除の対象となりますので、病院で発行された領収証は保管しておきましょう。

健康保険が使えない場合

 

仕事が原因となって起きた病気やケガ、障害または死亡を業務災害といい、通勤途上の病気やケガ、障害または死亡は通勤災害といいます。いずれも健康保険の給付対象外となり、労災保険からの給付を受けることとなります。

健康保険の給付と労災保険との関係

 

  1. (1)
    療養の給付との関係
    業務上・通勤途上の病気やケガについては健康保険の療養の給付は受けられません。健康保険証を使っての診療は受けられないということです。労災保険の「療養補償給付」を受けることになります。
  2. (2)
    傷病手当金との関係
    業務上・通勤途上の病気やケガにより会社を休んだときは健康保険の傷病手当金の給付は受けられません。労災保険の「休業補償給付」や「傷病補償年金」を受けることになります。
  3. (3)
    埋葬料(費)との関係
    業務上・通勤途上の病気やケガにより死亡したときは健康保険の埋葬料(費)の給付は受けられません。労災保険の「遺族補償給付」や「葬祭料」を受けることになります。
  • 病気やケガが業務上・通勤途上のものとして労働基準監督署の認定が得られなかった場合には、健康保険の給付を受けることになります。

 

ワンポイントアドバイス

 

通勤途上の「通勤」とは、労働者が勤務先の仕事に就くため、あるいは仕事を終えて、住居と勤務先との間を合理的な経路・方法により往復することをいいます。帰宅途中での寄り道などは含まれません。

その他健康保険が使えないもの

 

健康保険で診療を受けられるのは、症状のあらわれた病気やケガに限られます。

次のような場合には保険診療は受けられません。

  1. (1)

     

    病気とみなされないもの

     

    • 単なる疲労や倦怠
    • 予防注射
    • 通常な妊娠、お産
    • 経済上の理由による人工妊娠中絶手術
  2. (2)

     

    治療のためでないもの

     

    • 症状固定後の義手などの装具や眼鏡、補聴器など
    • 隆鼻術、二重瞼などの美容を目的とする整形手術
    • 近視手術
    • 歯列矯正
  3. (3)

     

    その他

     

    • 日常生活に支障のないホクロ、アザなど
    • 回復見込みのない近視、遠視、色盲など
    • 単なる疲労に対する投薬、注射
    • 身体機能に差し障りのない先天性の疾患
  • 例外的に保険診療を受けられる場合もありますので、病院にて確認してください。