健康保険制度のしくみ

健康保険制度

わが国の医療保険制度は、日本国民なら誰でも何らかの医療保険制度に加入することになっています(国民皆保険)。具体的にいうと、会社員等は被用者保険(健康保険)に加入し、農林漁業・自営業者・自由業者は地域保険(国民健康保険)に加入することになります。
このうち被用者保険は、一般の民間企業の会社員が加入する健康保険と、公務員などが加入する共済組合、船員が加入する船員保険に分かれています。健康保険の仕事はもともと国が行うものであり、その通り国が直接運営する健康保険(協会管掌健康保険、略して協会健保)と、TOPPANグループ健康保険組合のように会社が厚生労働大臣に認可を受けて設立運営する健康保険(組合管掌健康保険、略して組合健保)があります。
つまり、健康保険組合は本来、国が行うべき健康保険の事業を代行するため、保険者として健康保険法に基づき設立された公法人です。

日本の医療制度

被用者保険
(職域保険)
健康保険 協会管掌健康保険(協会健保)
組合管掌健康保険(組合健保)
共済組合(公務員、私立学校教職員など)
船員保険
地域保険 国民健康保険(農林魚業、自営業、自由業)
国民皆保険

健康保険組合の二大目的

保険給付

健康保険は一定の事業所に使用される人を被保険者(本人)といい、被保険者およびその被扶養者(家族)の業務外の病気および負傷、死亡、分娩の4つについてい保険給付を行い、職場に働く人の生活の安定に寄与することを目的とする社会保険です。
保険給付には、健康保険法で定められた法定給付と、健康保険組合が独自の規約に基づき、各健康保険組合の実情(財政状況や母体企業の福利厚生内容など)に応じて行う付加給付があります。付加給付は、協会管掌健康保険にはないので、健康保険組合の大きなメリットとなっています。

保健事業

保健事業は、健康の保持、増進を目的として、健康保険組合が独自に行う事業です。厚生労働省は、保健事業を健康保険組合の中心的な事業と位置づけ、特に健康増進活動の充実強化に努めるよう指導しています。
当健康保険組合でも病気の予防と早期発見のための「特定健診」や、「特定保健指導」等の疾病予防事業を行うほかに、機関誌「HOKEN」による保健思想の啓発、体育の奨励や保養所の運営など、幅広い保健事業を行っています。
健康保険組合の保健事業は、事業所、被保険者、被扶養者の実態に則して推進できるため、それぞれの健康保険組合の特色を出すことが可能となり、全国一律的な保健事業を実施する協会管掌健康保険と大きく異なるところです。

健康保険組合の運営のしくみ

健康保険組合の組織

健康保険組合は事業主と被保険者から成り立ち、自主的・民主的に運営されるよう組織がつくられています。

組合会

組合会は、組合会議員で構成され、組合規約の変更、予算、事業計画など重要な事項を決定する健康保険組合の最高議決機関です。健康保険組合の組織を国にたとえるならば、組合会は国会ということになります。
組合会は、事業主側を代表する選定議員と被保険者側を代表する互選議員とによって構成され、その数はそれぞれ半数(33人ずつ)となっています。当健康保険組合の議員定数は、66人と規約で定められています。

理事会

理事会は、組合会で決定されたことを実行する執行機関です。健康保険組合の組織を国にたとえるならば、理事会は内閣ということになります。
理事会は、選定議員の中から選ばれた選定理事と互選議員の中から選ばれた互選理事によって構成され、その数は、それぞれ半数(14人ずつ)となっています。当健康保険組合の理事定数は28人と規約で定められています。
このような組織は、健康保険組合の自主性、民主性を法律の範囲で認めるということであり、この点が政府が決めた事業を全国一律に実施する協会管掌健康保険と大きく異なるところです。

理事長、専務理事、常務理事

理事長は、選定理事の中から全理事の選挙により決定され、健康保険組合を代表します。理事長は、本部に1名の専務理事、各支部にそれぞれ1名の常務理事を理事会の同意を得て理事の中から指名します。専務理事および常務理事は理事長を補佐し、事業運営における業務を処理します。

監事

監事は、組合会において選定議員および互選議員の中からそれぞれ1名を選出し、組合事業全般について毎年監査を行います。

検査委員

検査委員は、監事からの報告書等により組合会として検査する必要が生じた場合、組合会において選定議員および互選議員の中からそれぞれ同数を選出し、検査を行います。また、監事を補佐する役割で設置することもできます。